教育、学び、そして学校 〜 注42

公開: 2024年3月9日

更新: 2024年7月27日

注42. 大学とは

12世紀に中世イタリア都市、ボローニャに、領主や教会の支配を受けない自治権を認められた都市、「大学都市」が生まれました。教会の支配からも独立していた大学都市は、カトリック教会の教義にも縛られずに、自由な研究や教育ができる場所でした。その後、フランスのバリ大学、イギリスのオクスフォード大学など、ヨーロッパ中の各地に30を超える大学都市が生まれました。大学都市では、警察権を含めて、行政上の全ての行為は、住民ら(教員や学生など)による自治に委ねられていました。

ただし、大学での教育は、ラテン語で行うことが求められ、専門知識を修得したことが証明されると、「単位」が与えられ、必要最小限の単位を修得した学生には、大学は、学位を授与することになっていました。単位を与えるための基準は、大学間で協議され、合意された基準により、どの大学で単位を修得したかは、問題にはなりませんでした。また、学位を得た人々は、どの大学でも、教育をすることができました。ですから、学位を授与されることは、非常に重要でした。

17世紀になると、アメリカ大陸にも大学が設立されましたが、大学の運営方法などは、ヨーロッパの大学と同じやり方が踏襲されましたが、アメリカ合衆国では、ヨーロッパ大陸の大学とは違って、独自の大学ネットワークが形成されました。ただ、新しく設立される大学の教員に対しては、既存の大学から博士の学位を授与されていることが条件となっています。大学の設立については、自治権が前提とはならないので、アメリカ合衆国では、かなり自由に大学を新設することが可能でした。このため、安易に新大学が設立されるため、卒業生の能力が問題になりました。

このため、米国社会では、大学が授与する学位が価値のあるものであることを証明するために、社会が特定の大学の特定の学部・学科を対象として、学生の能力を保証する教育が実施されていることを認める、アクレディテーション制度が導入されています。このため、特定分野において、学生が学位を授与された学部・学科がアクレディテーションを認められているかどうかが、重要視されます。

参考になる資料